昨今、調剤薬局における人手不足が叫ばれています。原因は様々ありますが、特に中規模から個人レベルの薬局にその傾向が強くみられるようです。
人手が不足すると、それを補完するために、従業員が長時間労働を強いられることとなり、最悪の場合離職、といったケースが少なくはありません。当然、人を新しく雇うことができれば問題は解決しますが、昨今そのように簡単に人が見つかるかというと簡単には見つからないのが現状です。高額の派遣職員を雇う等して対応している調剤薬局も少なくはないでしょう。
ここで、最近流行りのDX(デジタルトランスフォーメーション)またはIT化により業務の効率化を検討するのはどうでしょうか。
調剤薬局におけるDXというと、オンライン服薬指導、オンライン資格確認、電子お薬手帳等今流行りのアプリの話題になりそうですが、これらは業務効率をあげるというよりも、患者さんの利便性向上や集客に資するもので、人手不足を積極的に解消する類のものではありません。(むしろもっと忙しくなる可能性もあります。)
そこで、今回はもっと足元のところを考えてみたいと思います。
調剤薬局で患者さんから処方箋を受け取ってからの流れは、どこの調剤薬局も大きく変わりません。大雑把に言うと、受付(レセコンへの入力)→調剤→投薬(服薬指導)→会計という流れです。この中でDXできるものは数多く存在します。順を追って見ていきましょう。
受付(レセコンの入力)について
まず一番初めのレセコンへの処方情報の入力ですが、こちらに苦労される薬局も少なくありません。入力それ自体に時間がかかることはもちろんのこと、入力ミスをすると調剤過誤や会計が誤ったものとなり、対応するのに多大な時間を要することとなります。
そこで、検討していただきたいのが、二次元バーコードやOCR(光学的文字認識)による処方箋内容の入力です。二次元バーコードは、処方箋を発行する医療機関側にも依りますが、処方箋にQRコードが付されているのであれば、それを読見込めば間違いなく入力されるという大変便利な機能です。一方で、処方箋に二次元バーコードが印字されていない場合は、OCRによる読み取りを行うことも検討してみてはいかがでしょうか。最近のレセコンではOCR機能を有しているものが少なくなく、こちらでも高い精度で正確に処方箋の情報をレセコンに入力することができます。このように入力方法をIT化するのも一つ業務効率化を行うのに大変資するものといえるでしょう。
調剤について
何十年も前から実は調剤に関してはその方法が大きく変わっていません。ピッキングから製剤まで一部調剤機器が発達しましたが、大きな時間の節約をするような魔法のアイテムは未だ出現していません。
しかし、調剤は調剤薬局の中で最も時間のかかる業務の一つであることは間違いがなく、また、正確性も求められます。調剤を誤ると調剤過誤となり、もし健康被害が生じようものならば、その対応にどの程度の時間を割かなければならないかは想像に易くありません。
そこで、少なくともピッキングツールの導入を検討するのはどうでしょうか。レセコンで入力した内容に沿って、ハンディスキャナーで薬品のバーコードを読み取り整合性を確かめる。棚番等も入力するとどこに薬品が置いてあるかもすぐにわかり調剤の時間の短縮にもつながります。先に述べた二次元バーコードやOCRと組み合わせて用いると、少なくともピッキングに関しては効率や正確性は格段に上昇するものと言えます。
調剤薬局と人手不足とDX②に続く
弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所
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